蒸着製品の製法 ~ソフト紛(まがい)・その他~
ポリエステルフィルムに金属蒸着された、製品はそれぞれの目的により次の工程へと進みます。
金銀糸の箔として使用されるものは、裏側に撚り用の紙を貼りコーティングをします。(塗料によるコーティングのみの場合もあります)
両面平箔として使用されるものは、平箔用の紙を貼り、それを二つに分割したあと貼り合せます。(製品によっては紙を貼らずに、フィルムのみで貼り合せたり、もう一枚フィルムを重ねて三枚貼りにすることもあります)
着色には大別して二つの方法があります。ポリエステルフィルムに金属を蒸着する前に、あらかじめ蒸着面に着色をしておく場合があります。これはアンダー着色と呼ばれ、金属とフィルムの内側に色が入るため、色が取れることがなく、後から何らかの加工をすることに適しています。
通常の場合は金属蒸着したあと、蒸着面に裏紙を貼り、フィルムの表面に着色を行います。これをオーバー着色と呼びます。
アンダー着色は表面側から、(フィルム→着色層→金属層→紙)の順になります。
オーバー着色は表面側から、(着色層→フィルム→金属層→紙)の順になります。
また着色には金色を表現するだけではなく、光沢をわざと抑える錆着色や、重厚さを表現する古代着色、きらびやかさを表現するカラー着色などがあります。デザイン性を求め、版型を用いて色の重ね合わせをすることもあります。もちろんそれらを重複させて、さらなるデザイン性を追及することもあります。
出来上がった原料は目的に応じてスリッター(裁断)されます。
最初は大切りです。75mm~100mmに切り分けをします。
次はマイクロスリッターです。目的に応じて0.2mm~1.0mmに切ります。
(金銀糸にJIS規格はありません。各業者により少しずつ違いがあります。)
撚り用のベークボビンに巻き取られた箔は撚糸機にかけられます。現在ではポリエステル蒸着の製品は高速撚糸されることがほとんどです。高速の撚糸はフライヤーと呼ばれる金具を用い、芯糸に遠心力を利用して巻きつけていきます。(一部特殊な製品は今でも低速撚糸されています=低速撚糸は伝統的な技法~新紛~で説明しています)
撚糸された金銀糸はまず蒸気でセットします。その後、必要な長さに枠取りをし、再び蒸気と熱によるセットをします。5000m~20000mぐらいのパイコーンに巻いたり、1000m~2000mぐらいのカセに仕上げられます。