伝統的な製造技法 ~新紛(しんまがい)~
「新紛」金糸は伝統的な製品と現代的な製品の中間にあたります。長尺(1000m)の和紙に銀を蒸着し、そのまま用いたり、金色にカゼイン着色したものを丸撚り金糸や、両面平箔に加工します。
丸撚り金糸の場合、ギロチンと呼ばれる包丁で裁断します。ギロチン切は蕎麦を切る作業をイメージしてください。
まず原料の表面に木蝋を波線状に塗ります。これは裁断の時に原料の箔が横ずれして切ムラを起こさないようにするための準備です。一日置いてから裏側の和紙の部分に水を吹きつけながら、スピンドル油を塗り、板状にたたみ込んでいきます。水は適当な湿気を与えて木蝋をなじませるために、スピンドル油はギロチン包丁のすべりをよくするために使います。
たたみ込んだ原料から芯板を外し、プレス機で2~3日圧迫し固めます。ここまで準備された原料は分厚い一枚の板のように堅くなります。
これを機械に取り付けギロチン包丁にて切り落としていきます。各業者によって異なりますが、200m~350mを一回の作業で切ります。一掛と呼ばれる一般的なもので60切~70切(0、49mm~0、42mm)位の幅になります。
切り落とされた平箔状のものを行灯(あんどん)とよばれる円錐形の枠にのせ、軽くさばいてボビンに巻きとっていきます。これを芯糸(綿・レーヨン等)に撚糸していくと新紛金糸の出来上がりです。
手撚りの技法が途絶えた現在では、もっとも古い技法となります。本金糸・本銀糸・漆金糸等もこの手法で作られています。しかし、このギロチンの技法を持つ業者も減少し、いまでは数軒でしか継続されていません。
低速撚糸 箔を錘先(つむさき)の溝にそわして撚り上げていく。錘の中から芯糸が出てきます。